発想の転換を
<暮らしの中の科学>つらい満員電車でも…きっと座れる? 物理学者が編み出した必勝法
「天災は忘れられたる頃来る」の名言で知られる寺田寅彦(1878~1935年)は日常と物理学をつなぐ珠玉の随筆を多く残したことで知られる。
1922(大正11)年に発表した随筆「電車の混雑について」にこんな一節がある。
「満員電車のつり皮にすがって、押され突かれ、もまれ、ほとんど堪え難い苛責(かしゃく)である」
寺田は混雑した電車をやり過ごす中で、混雑に周期的な「峰」と「谷」があることに気付く。
電車は始発駅を離れるにつれ、遅れが生じていく。
駅への到着が遅れると、乗り込む人数が増えるため、発車に時間がかかり、混雑は増していく。
寺田は数式を操り、平均3、4本ごとに著しい満員電車となり、それに次ぐ2、3台はすいていくと推論した。
次に、東京・神保町停留所で路面電車の混雑状況や電車到着の間隔を調べ、ある程度正しいことを確認。
「満員車は人に譲って、一歩おくれてすいた車に乗るほうが、自分のためのみならず人のためにも便利であり『能率』のいい所行(しょぎょう)であるように思われる」と結論づけている。
電車に遅れがある際は、混んでいる電車に乗るより、一本待った方が実は車両が空いている。
物理学者ではなくても、体感として理解している人もいるのではないでしょうか。
しかし、分かっちゃいるけど、そうはできないのが現代人の悲しいところ。
時間に余裕があれば可能かもしれませんが、遅くまで働いた翌朝はどうしたって時間がギリギリです。
一本見送った方が良いのは分かっていても、仕方なく満員電車に乗っているというのが、多くの人の現状でしょう。
私の場合は家が近いこともありますが、通勤はちょっとしたトレーニングの場と考えています。
吊革につかまらずにバランスをとって、体幹を鍛える意識で電車を利用しています。
面白いもので、バランスはコンディションと連動していて、調子が悪い時はふらつきが多くなったりします。
急な揺れもイベントの一つ、ゲーム感覚で楽しんでいます。
そもそも満員の電車に座ろうという行為は、難易度が高く、とてもストレス度が高いミッションです。
逆転の発想として、そもそも何かをする場として通勤時間を置き換えた方が、ツラさは和らぐかもしれません。

