本当にムダ?
大腸菌のDNAに101000カ所以上の変更を加えて遺伝暗号の根本を書き換えた
イギリスのMRC分子生物学研究所(MRC-LMB)で行われた研究によって、大腸菌に対して実に10万箇所以上のDNAを書き換えるという前例のない大規模な再設計を実施し、アミノ酸を指定する指定札(コドン)を64種類から57種類に大幅に減らすことに成功しました。
これは言語でたとえれば、あらゆる単語の意味を統一する大規模なシンプル化と言えます。
理論上、このように人工的に設計された遺伝暗号をもつ細菌は、ウイルスが増殖のために必要とする遺伝暗号をあらかじめ取り除いているため、ウイルスに感染されにくい細菌として産業や医学への応用が期待されています。このような遺伝暗号の大胆な書き換えは、節約されたコドン部分に自然界には存在しないアミノ酸を組み込んだ新しいタンパク質や医薬品の生産、さらには環境中でも安全に働くことのできる人工生物の実現へ向けた重要な第一歩となる可能性を秘めています。
果たして、この遺伝暗号の書き換えが、生命のあり方や私たちの暮らしにどのような変化をもたらすのでしょうか?
現代は効率が求められる時代です。
生産性を上げるためにできるだけムダを排除する。
その結果、物質的には豊かな社会になりました。
しかし、ムダを排除していった結果、どんどん余裕がなくなっていきました。
ムダが省かれて仕事の密度が上がり、現代人の多くは仕事に忙殺されています。
その負担は、現代人の健康を確実にむしばんでいるでしょう。
体は非常に精巧なシステムによって動いています。
それは、長い時間をかけて作り上げたこそできる、知恵の結晶です。
その知恵が残した情報には、本当にムダが含まれているのでしょうか。
200万年ある人間の歴史と比べると、科学の歴史はまだまだよちよち歩き。
色々なことが分かるようになったと言っても、多くの部分はまだまだブラックボックスです。
自然界には存在しないアミノ酸による医薬品の生産は、本当に明るい未来をもたらすのでしょうか。
私は少し危機感を覚えます。

