当院が考える腰痛の原因

腰痛患者は日本に3000万人いると言われています。
腰部脊柱管狭窄や椎間板ヘルニア、内臓の病気、重い脊椎の病気が腰痛の主な原因です。
しかし、このように原因が特定できるものは全体の15%程度です。
腰痛のほとんどは、検査をしても原因がハッキリしません。

原因が分からない腰痛のほとんどは、関節や筋肉などに原因があるといわれています。
マッサージで良くなるのは、筋肉がゆるんだり、それによって腰の動きがスムーズになるためでしょう。

局所の変化にクローズアップをすれば、確かに筋肉や骨には問題が起きているでしょう。
過剰に固くなっていたり、関節の動きが悪くなっていたりといった変化が必ずあるはずです。
しかし大事なのは、なぜ筋肉が固くなっていたり、関節が制限されているのか、その先を考えることです。
マッサージを受けてもすぐに戻ってしまうのは、原因が筋肉ではないからでしょう。

腰に過剰な負担がかかれば、確かに腰は痛くなります。
その場合、腰の疲労が取り除かれれば、腰の痛みはなくなるはずです。
しかし、安静にしていても良くならない…。
この場合は、何か他のところに原因があることを考えるべきです。

例えば、筋膜はそれを解決するポイントの一つであると私は考えています。
筋膜は身体をつなぐ組織であり、筋肉、内臓、血管、神経をすべてを包んでいます。
ウェットスーツのように体全体に張り巡らされる、いわば第二の骨格です。
このため、一つの問題は全体に引っ張りの力を与えるため、他にも影響してしまうのです。

当院でも腰痛のページでご紹介していますが、横隔膜が原因になる場合があります。
また、病気ではなくても、肝臓や胃の影響で、背面の腰に緊張が強く出る場合もあります。
肋骨の動きが悪く、それを代償するために、結果的に腰が固くなっている場合もあります。
医学的な検査でハッキリしない腰痛でも、機能面を考えると問題を起こしている場合が多いのです。

人間は複雑系です。
そのまま調べようとしても、なかなか解決の糸口は見つかりません。
そのため、パーツごとに細かく分けて組織を観察することにしました。
その結果、様々な生命現象が解明され、現代医学の発展に大きく寄与することになりました。

しかし、ミクロな視点だけでは限界があります。
だからこそ、85%の腰痛の原因が分かっていない現実があるのです。
身体活動は、パーツごとの変化ではなく、それぞれの組織が協調して動いている一つのモノです。
木を見て森を見ずでは、やはり全体をとらえることは出来ません。

身体の変化は、身体の協調性が失われた結果に起こっていること。
それが腰痛であっても、肩こりであっても、他の内科的な病気であっても、その本質は同じです。

筋膜は病気の始まりの場所である。
これはオステオパシー創始者のスティル医師の言葉です。
この言葉こそ、腰痛を考える上で重要なキーワードなのではないでしょうか。