医療費増大の一端

痛いところがある時は、患部に湿布を貼る。
これが一般的な症状への対処法でしょうか。
先日来院された患者さんは、親が病院で処方された湿布使っているという話をしていました。
湿布に限らず、余った薬を家族の誰かが服用するのは、決して珍しい話ではありません。

医師が処方した薬をきっちりと最後まで飲みきる。
こういった方は意外と少数派です。
良くなったと思ったら、別に全部は飲まなくてもいいや。
感覚的には正しいかもしれませんが、これは医療費を圧迫する大きな原因になっています。

私が整形外科に勤務していた時の話ですが、毎回たくさんの湿布を欲しがる患者さんがいました。
そんなにたくさんどうするのかを聞いてみたところ、周りに配ったり、家族で使うそうです。
その方は健康保険が一割負担だったので、薬局で買うよりも相当に安く手に入ります。
15年以上前の話ですが、今でも似たような光景はあちこちで見られるでしょう。

日本は、国民皆保険によって安価で医療が受けられる国です。
他国で日本のような医療を受けようとすると、まずお金が無くては始まりません。
国民皆保険は、高水準の医療を誰でも平等に享受できる、素晴らしい仕組みです。

しかし、安いからが先立ち、モラルが低下しているのは間違いのない事実です。
安易に薬を欲しがる患者、念のために多めに薬を処方する医師、どちらも共犯です。
ほとんどの人は、自分の身体に自分で責任を持たずに、簡単に身体を人任せにしています。
検査結果がすべてであり、自分の感覚は二の次、薬を飲めば身体は治る。
健康においては、全て間違った認識です。

飲み残しの薬は1兆円近い規模だと言います。
社会保障費で現役世代は青息吐息です。
日本人はいつから道徳を失ってしまったのでしょう。