施術とはDNICである
広汎性侵害抑制調節(DNIC)は、セラピストにとって重要な反応です。
なぜなら施術とは、極論すればすべてこの反応を利用したものだからです。
DNICとは、体のとある部位に痛み刺激を与えることで、別の部位の痛みが抑制される現象です。
こう書くと難しく聞こえますが、慢性的な肩こりでも、足の小指を角にぶつけた時には感じません。
また、虫刺されのかゆみは患部をたたくと和らぎます。
これらは日常で経験するDNICです。
筋肉痛とは、筋線維が傷つき炎症を起こし痛みを感じている状態です。
マッサージによって楽になるのも、大元はDNICが働いているからです。
血流がよくなったとしても、瞬時に筋線維の損傷が修復されるわけではありません。
マッサージの刺激によって、疼痛が緩和していると言えるでしょう。
しかし施術者側は、この機能をうまく利用している反面、困ったこともあります。
終わり間際になって、最初とは違うところが痛いと言われるパターンです。
身体はDNICの調節によって一番痛いところに感覚をフォーカスしています。
しかし、施術を受けて良くなると、今度は二番手、三番手がフォーカスされます。
決して施術によって痛くなったわけではないのですが、説明しても納得してくれない場合もあります。
セラピストあるあるかもしれませんが、一番困るパターンです。
治癒のプロセスにおいて、良くなってくると痛みの場所がどんどん変わっていきます。
これは、多くの症状が痛いところだけの問題ではないことの証明でもあります。
症状とは、たまたまそこに感じているだけであり、負担自体は身体全体で負っています。
それをどれにするかが、ただDNICによって調節されているだけのことなのです。

