症例報告 70代 女性 手術後の腰痛

右の股関節の手術後、腰が痛みを感じるようになった70代の女性です。
手術後、股関節の痛みは無くなりましたが、その数か月後から腰痛で苦しむようになりました。
長時間の歩行や同じ姿勢、前屈をすると痛みが誘発されるとのことでした。

手術をした病院に相談をしたそうですが、医師は手術は上手くいっているから心配ないとのこと。
筋力が弱っているから、リハビリを頑張れば良くなると言われたそうです。

しかし、実際には筋トレをすると痛みが出るのでどうしようもありません。
どうしようもなくなって知人に紹介されたことが、当院の来院理由です。

手術は、変形が進んでいた股関節を金属のものに取り換える、股関節の置換術です。
股関節がすり減ったことによって出ていた症状は、原因を取り除くと確かに良くなります。
しかし全体を考えると、金属は骨よりも固い物質であるため、動作における連動を乱します。
また、メスを入れた箇所は傷となり固くなるため、やはり他の組織の邪魔をする原因になります。

女性の股関節周辺は妙な固さがあり、手術の影響はとても大きいようです。
腰や臀部の緊張も強く、押すと強い痛みを訴えます。
股関節をかばっているせいか、右の足首や膝にも妙な固さがあり、バランスが大きく崩れています。
元々、腰のヘルニアも持っているとのことなので、特に影響してしまったのかもしれません。

特に、気になったのは右の寛骨です。
寛骨は、元々は腸骨、座骨、恥骨の三つからなる骨で、股関節を中心として癒合しています(関節窩)。
1つの骨として癒合していますが、注意深く観察すると完全ではなく、中心にはわずかな動きがあります。
そして、その動きは股関節の荷重を分散し、バランスを取る働きをしています。
手術では関節窩を凹のソケットに取り換えるのですが、その動きが無くなっているような印象です。

関節窩の中心に力をフォーカスし、寛骨の異様な固さを解放していきます。
場所がデリケートで難しいですが、時間をかけるとだんだんと寛骨の異様な固さが無くなっていきます。
寛骨の緊張が正常化されると、腰の固さも大分マシなものになりました。
その他、気になった部分を調整し、身体の緊張を緩めていきます。

施術後は、動いてもお辞儀をしても痛くないとのことでした。
どのぐらい持つのかは未知数ですが、施術を重ねていくことでだんだんと症状は安定していくでしょう。

手術の難しいところは、元々の痛みが良くなっても、他の痛みを出すことがあるということです。
そういった点では、体のバランスを取る整体はアフターケアとして非常に重要でしょう。
症状を変えるためには、大きな視点から身体を見ることがやはり大事なのです。