やっぱり失敗は成功のもとだった

脳は「ミスした瞬間」に本気で学び始める

私たちの体は、繰り返し練習することで動きが自然にできるようになります。
この仕組みの中心にあるのが「小脳」という脳の部位です。

小脳は、体の動きのズレを検出して修正する役割を持ち、いわば「自動補正装置」のような働きをしています。
例えばテニスでボールを打ち損ねたとき、小脳は「今の動きはズレていた」という信号を受け取り、次に同じ動作をするときに微調整を加えます。

このとき重要になるのが「誤差信号」と呼ばれる情報です。
これは「思っていた動きと実際の動きの差」を示すもので、脳にとっては学習の材料になります。

興味深いのは、この誤差信号が強いほど、学習が大きく進むという点です。
つまり、かすかなミスよりも、「明らかに外した」「完全に失敗した」といったはっきりしたミスの方が、脳にとっては学びやすいのです。

このとき、小脳の中にある「プルキンエ細胞」という神経細胞が活性化し、回路が作り変えられます。
この変化が積み重なることで、動きが洗練され、やがて無意識でも正しくできるようになります。
言い換えれば、ミスは単なる失敗ではなく、「脳に修正を指示する重要なスイッチ」なのです。

失敗は成功のもと
七転び八起き
災い転じて福となす
いずれも失敗にフォーカスした言葉ですが、やはり科学的にも裏付けがあるようです。

確かに私自身も、失敗を乗り越えて成長している気がします。
今、ある程度、施術に自信が持てるようになったのも、多くの失敗をしてきたからです。

不思議なもので、治療がうまくいったケースはいつまでも覚えています。
そして、そういったケースを乗り越えていったことで、腕も上がっていったように思います。

特に、自分でやり始めてからは、成長のスピードが段違いです。
開業後の失敗は、自分の生活を左右し、最悪の場合は店をたたまなくてはなりません。
同じ失敗であっても、脳への刺激がずっと大きいのでしょう。

以前、たくさんの習い事をしている人の文章を読んだことがありますが、やはり上達のカギは実践にあるとのことでした。
1人で練習するよりも、人前で披露することによって、何が出来て何ができないのかがハッキリする。
恥をかいて、課題をはっきりさせることで、だんだんうまくなっていくそうです。

失敗をなぜ恐れるかということを考えていくと、私の場合は、恥をかきたくないというところに行きつきました。
しかし、それは私のプライドの話で、患者さんの利益には一切関係がありません。
失敗したとしても、それを認め、フォローすような対応をすれば、恐らく悪くは思われないでしょう。

プライドは低く。
腰も低く丁寧に。
高いところは向上心だけで良い。
そんな風に心がけたいものです。