氏より育ち
クマノミは「猛暑がくると背が縮む」、前代未聞の発見、海洋熱波で個体の体長が変化
論文の筆頭著者であるフェルステーフ氏はパプアニューギニアのキンベ湾で、野生のクマノミのつがいに環境が与える影響を調べていた。
熱波が襲来し、長期平均水温が4℃も上回ったとき、「熱波が終わるまで、彼らを追跡することにしました」とルーガー氏は説明する。
研究チームは2023年2月から8月まで、定期モニタリングの一環として、数日おきに水温とクマノミの大きさを計測した。
ダイバーが水槽用の網でクマノミを捕まえて正確に計測した。
訓練を受けたダイバーであれば、1匹当たり30秒足らずで終わる。
「そして、何ごともなかったかのように、彼らはイソギンチャクに戻ります」とルーガー氏は話す。
結果は驚くべきものだった。研究期間中、支配的なメスの71%と繁殖オスの79%が少なくとも1回小さくなったのだ。
「縮んだ個体」の一部はその後、急成長して元に戻った。
さらに、縮んだ個体の41%は2回以上小さくなり、繁殖パートナーとともに小さくなった個体は生存率が高かった。
小さくなるというのは前代未聞だ。
クマノミは体の大きさをすみかのイソギンチャクに合わせることで知られている。
そのため、海洋熱波によってイソギンチャクの成長が止まった場合、クマノミがそこにすみ続けるため、体を小さくする必要が生じる可能性はある。
また、クマノミが酸素や餌の状況に対応している可能性もある。
「体が小さければ、当然ながら、必要な餌は少なくなり、多くの場合、採餌の効率も上がります」とルーガー氏は述べている。
寒いところに住む動物は、一般的に体が大きい傾向があります。
これは”ベルクマンの法則”と言いますが、生物は体を大きくすることで体温を維持していると考えられています。
例えば、ホッキョクグマは体長が3.2m、体重が700kgを超える大きな個体も存在します。
これもやはり、厳しい環境で生き抜くために、体を大きくして体温を維持しているのでしょう。
逆に、暖かいところでは、今度は熱の放散が課題になります。
体が大きいと熱が逃げにくいため、生物の体は小さくなる傾向にあります。
クマの例を出すとすれば、マレーグマは体長1.3m、体重45kgと、ホッキョクグマに比べると非常に小型です。
マレーグマは、体を小さくすることで、熱を効率よく外部に放出し体温の上昇を防いでいるのです。
ベルクマンの法則を踏襲するように、環境で体の大きさが変わるというのは面白いところです。
生物の本質とは、氏よりも育ちなのではないでしょうか。

