フラクタルな生物

虫をだましておびき寄せる花の臭いにおい、植物3属それぞれで酵素が進化 国立科学博物館など

腐肉擬態花を特徴づける典型的な性質のひとつに、腐った肉などが放つ硫黄を含むにおい物質「ジメチルジスルフィド」を発するというものがあります。
腐肉擬態花が進化する過程ではこの性質の獲得が必要不可欠ですが、そもそも腐肉擬態花がどのような仕組みでこのにおい物質を作り出しているのかについても未解明でした。
私たちは、日本で 50 種あまりが自生し顕著な多様化を遂げた植物のグループであるカンアオイの仲間の中に、典型的な腐肉擬態花の性質を持ち花のにおいにジメチルジスルフィドを含む種と、そうではない(ジメチルジスルフィドを含まない)種が存在し、その進化の歴史において臭いにおいの花が繰り返し生じてきたことを見出しました。

人間でも匂いの好みがあるように、虫にも好みがあります。
花の香りにはハチやチョウが集まりますが、腐ったような匂いにはハエやアブが集まります。
また、人間が良いと感じるユーカリやハッカの匂いは、一般的には虫が嫌う匂いです。

そもそも、なぜ臭い匂いを出すのでしょうか。
それは、このような植物のターゲットがハエやアブだからです。
こういった生物は忌み嫌われますが、腐ったものを分解する仕事は必要不可欠です。
特にハエは、極地以外はどこにでもいる虫であるため、植物は生存のために利用しているのでしょう。

しかし、生物の種類の多様性に比べ、匂いの元はほとんど同じだったというのは面白い発見です。
自然は一見乱雑なように見えて、実は多くのものが共通し、見かけ上のパターンを変えているだけのものがほとんどです。
フラクタルなのは、機能においてもある程度同じなのでしょう。

神は、極力、シンプルを好む存在なのかもしれません。