閃きの裏には
「ひらめき」の前に「前兆」があるのか?
謎を解明するため研究者たちは数学者たちの「発想の瞬間を現場で捕まえる」という大胆な方法をとりました。
対象となったのは博士課程レベルの数学者6人。
彼らに、全米屈指の難問として知られるプトナム数学コンテスト(Putnam Competition)の課題を解いてもらいました。
用意されたのは黒板とチョークだけ。
まさに数学者たちが日常で思考を深める姿そのものです。
研究者たちは、黒板の前で彼らが問題に取り組む様子をカメラで撮影しました。
黒板に式を書く、消す、指で差す、視線を動かす――そのすべてを、時間とともに細かく記録していきます。
そして数学者たちの「わかった!」「できた!」といった声や仕草が出た瞬間を手がかりに、「ひらめき」が起きたタイミングを特定したのです。
この記録作業は非常に地道なものでしたが、結果として4,653回に及ぶ「黒板上の動き」と「ひらめきのタイミング」が得られました。
この膨大なデータを分析したところ、数学者が「わかった!」と表現する前に、ある特徴的な変化が現れることが判明します。
黒板の上で、動きのリズムが急に乱れ始めたのです。
それまでは、特定の図形や式の間を行き来するような決まったパターンで考えていた数学者が、急に別の場所に手を伸ばしたり、関係のなさそうな図を指さしたりする――そんな「動きの揺らぎ」が観察されました。
私たちが自覚している意識は、意識全体からするとほんのわずかな部分です。
よく、海面に浮かぶ氷山に例えられますが、自覚ができる顕在意識は10%、自覚のできない潜在意識は90%と言われています。
また、意識の前には、脳の働きが先にあることが確認されています。
生理学的には、脳が電気信号を発することで、○○をしようという意志が生まれていると言えるのです。
無意識は、私たちの行動に大きな影響を与えています。
それはプラスの面で言えば、こういった閃きをもたらしてくれるでしょう。
しかし、ネガティブな影響ももたらしているということです。
科学者は閃きを得るために、その分野に関する膨大な情報をインプットしています。
その結果として、脳が答えの方向に働きだし、分かったという閃きがもたらされました。
もしこれが、他人の不幸が好きで、そういったコンテンツを見あさっていたらどうでしょう。
例え画面の中の出来事だとしても、脳にはその区別がつきません。
自分の人格や行動にも、少なからず影響してしまうでしょう。
何でもかんでも調べることは、決して正しくはありません。
情報過多の時代だからこそ、なるべく良質なものをインプットしていきたいものです。

