悪魔との契約
悪魔に魂を売る。
決して絵空事ではなく、アリの世界では現実に同じようなことが起こっています。
アリに感染する寄生虫に”A.brevis”がいます。
この寄生虫がアリにとっては悪魔的な存在です。
この寄生虫はアリの体内でタンパク質を合成するのですが、この中に抗酸化作用を示すものがあります。
この抗酸化タンパクには、アリの寿命をなんと寿命を7倍にも伸ばす働きをします。
さらに免疫にも作用するため、病気にもかかりにくくなり、なかなか死なないアリとなります。
悪魔との契約で、アリは準不老を手に入れました。
次に、アリの世界は女王アリを頂点とするカースト制です。
このカースト制の維持には、女王アリの生産するある種のタンパク質が関わっています。
寄生虫はこのタンパク質の生産量も増加するため、感染アリもVIP待遇を受けられるようになります。
身体のお手入れや食べ物のお世話等、非常に手厚い待遇で女王アリ以上の贅沢を味わえるのです。
まさにアリの世界の酒池肉林の生活でしょう。
しかし、これで終わるわけはありません。
悪魔である寄生虫にはきちんとした目的があります。
長寿化したアリは、身体が若々しく柔軟で、見た目も特殊化していきます。
この寄生虫が標的とするアリは通常木の幹や枝を巣にしていますが、ここで登場するのがキツツキです。
キツツキは木をほじくって餌を探しますが、その標的は幼虫やアリといった昆虫です。
感染アリはキツツキに見つかりやすいように若々しく太っているため、格好の的です。
実は、寄生虫の最終目標は、終宿主であるキツツキに食べられることにあるのです。
この自然の仕組みにもビックリしますが、まさに悪魔に魂を売るの典型ではないでしょうか。
今が良ければ、自分が良ければ、金さえあればすべて良いのか。
人間にも悪魔と契約でもしたのではないかと、首をかしげる行いをする人がいます。
しかし、やはり最終的には自分の首を絞めかねない結果になってしまうのではないでしょうか。
私にはこの自然の中に、世の中の摂理が表現されているような気がしてなりません。

