氏か育ちか

かつては遺伝子ですべてが決まると考えられていた時代がありました。
病気には特定の遺伝子があるのではないかと考え、その解明のため多額の研究費が投入されました。
しかし、何十年経ってもその遺伝子は見つかりませんでした。

この遺伝子を持っているから、この病気にかかってしまう。
最近の研究では、一部の病気を除き、その考え方は否定されています。
多くの遺伝子が影響し、結果として一つの病気として表現されている、ということが分かったからです。

遺伝子は決して不変ではなく、オンとオフによってその振る舞いを変えます。
これをエピジェネティックと言いますが、オンとオフは周囲の環境によって決まります。
遺伝子の配列は不変であっても、その働きは絶対的なものではありません。
これは様々な環境の変化を生き抜くために身に着けた、生存のための知恵でしょう。

ラットの実験では、
母親がどれだけ子供の世話をするかは1000以上の遺伝子に影響を与えるという報告があります。
また、その経験の有無が、後の成長にも大きく関ってくるそうです。

氏か育ちか。
賛否両論ありますが、こと健康に限っては圧倒的に環境に左右されるのです。