読書録 vol.9

風邪の効用 野口晴哉

野口晴哉、この名前を知らない手技療法家は、モグリかもしれない。
彼は日本を代表的するカリスマ整体師であり、有名な野口整体の創始者である。

彼は、数多くの臨床経験から、風邪を引いた後、かえって体のバランスが整うことに気付いた。
風邪は自然の整体法で、偏り運動の修正や潜在的偏り疲労の調整を行っている。
その経験を元とした考察が、本書である。

身体はウソをつけない。
身体のバランスを崩した時、風邪を引く。
寒いから風邪を引くのではない。
身体のバランスが崩れ、寒さに対して適応ができなくなり、その結果が風邪なのである。
風邪は、身体を修正する治癒の反応なのだ。

私も、風邪の効用を実際に経験している。
腰痛の患者さんが、施術後に風邪を引いた。
高熱で数日間は苦しんだが、その後は大変スッキリし、腰痛も良くなったという。
この場合は、先に腰痛を自覚をしたが、すでに身体はバランスを崩していたのだろう。
まず、バランスの崩れから、腰痛が出現した。
施術は腰痛に対してのものだったが、結果として本人の治癒力が喚起された。
そして、その反応として発熱し、風邪を引いた、と考えられる。
決して特殊なケースではなく、ほんの一例である。

近頃は、風邪を抑え込んだり、逆に無理やり引かないようにしたりと、これと逆のことをしている。
身体はいつも教えてくれている。
痛みや症状は、無理をするな、休めと、身体が語りかける言葉なのだ。
多くの現代人は、残念ながら、身体とうまく会話が出来ていない。

身体には、必要な薬がすべて備え付けられている。
風邪こそ、自然の大きな治癒反応なのである。

とは言っても、仕事や学校があるから休めないし…。
分かってはいるけど、薬を飲まないと仕方がない…。
コロナが怖いからワクチンも打たなくちゃ…。

果たして現代人は幸せなのだろうか?