人間もリンゴも同じ

奇跡のリンゴを知っていますか?
もうだいぶ前の話ですが、NHKのプロフェッショナルで特集されたことがあるので、ご存じの方もいるかもしれません。
木村秋則さんが作った無農薬栽培のリンゴのことです。

現代のリンゴは、品種改良が進み味は良くなりましたが、その一方で病気にはめっぽう弱くなりました。
そのため、栽培には例外なく農薬が使用され、当時、無農薬での栽培は不可能と言われていました。
しかし、その常識を打ち破って、無農薬栽培を成功させたのがこの木村さんです。

木村さんの歩んだ道は、決して平坦ではありませんでした。
むしろ無農薬栽培は、悩み、苦しみ、もがき続けた地獄の日々の始まりでした。
農薬に代わる何かを探して試行錯誤をするが、結果の出ない毎日。
生活にも困窮し、村でも村八分同然の扱いを受けるが、同じことを繰り返すしかなく、先の見えない毎日。
絶望と孤独の日々は、9年間も続きました。

次第に木村さんは追い詰められ、ついには自殺を考えます。
死んでしまえば、この苦しみから解放される。
家族にも、これ以上迷惑をかけることもない…。
いなくなってしまえばすべてが終わる。

家からロープを持ち出した木村さんは、死に場所となる手ごろな木を探しました。
しかしその時、森の奥でのびのびと枝を伸ばし、そのすべての枝にみっしりと葉を茂らせるリンゴの木を見つけたのです。
農薬も使っていないのに、なんでこんなに健康な葉をつけているのだろう…。
実際はドングリの木だったのですが、立派に育ったその木を見て、木村さんはあることに気づきます。

考えてみれば、この木だけが特別なわけではない。
他の木々も、病気や虫に負けず元気に育っている。
森の木々はそもそも、農薬などを必要とはしていないのだ。

自然の中には、孤立している命は存在しない。
害虫や益虫は、人間の都合による分類にしかすぎない。
木も、土も、水も、虫も、動物も、すべての命が他の命と関わり合って生きている。
リンゴではなく、自然がリンゴを選ぶのだ。
リンゴの木が健康を発揮できる環境を整えることこそが、重要なのだ。

この発見を機に、リンゴの栽培は軌道に乗り、ここからさらに3年後、ついに無農薬栽培に成功します。
木村さんはこうも語ります。

農薬を使わなくなって分かったことがある。
農薬を使っていると、リンゴの木が病気や虫と戦う力を衰えさせてしまう。
車にばかり乗っていると、足腰が弱くなるでしょう。同じことが起こるわけ。
でも、リンゴの木だけじゃなくて、農薬を使っている人間まで病気や虫に弱くなる。
だって、病気や虫のことがよくわからなくなってしまうでしょ。
農薬さえまけばいいから、病気や虫をちゃんと見る必要がなくなるわけだ。

これは身体と同じです。
薬にばかり頼っていると、身体は戦う力が衰えます。
そして、薬さえ飲めば症状が改善するため、その原因を深く考えなくなります。
なぜ風邪をひいたのか?
ミクロな視点で説明するなら、ウィルスの感染による免疫系の反応と言えるかもしれませんが、そもそもの、なぜ免疫が働かず、ウィルスの侵入を許してしまったのかの説明はありません。
その背景には、電磁波、化学物質、感情、思考、重金属等の影響があるかもしれないのにも関わらずです。

現代人は、農薬がないと育てることができないリンゴと同じです。
自分に起こっている変化が分からず、病気や虫にやられているのに気付いていません。
現代は、多くの要因が身体をむしばんでいます。

自然の法則は、例外なく人間にも働いています。
人間には素晴らしい治癒の力があり、誰しもが元気になれる。
これが働く環境を整えることこそが、健康な身体でいられる秘訣である。
薬ではなく、病気はすべて自分が治しているのです。