歯列矯正
歯列矯正は、歯に力を加えて少しずつ移動させることで、不正な歯並びや噛み合わせを正常な状態に整える治療法である。
【仕組み】
歯は、歯槽骨に埋まり、歯槽骨と歯の間には歯根膜がある。
歯根膜は、歯と歯槽骨を強固に結びつけ、センサーの役割をするとともに、歯にかかる衝撃を逃がす役割を担っている。
また、歯の成長にも関わり、破骨細胞と骨芽細胞が活性化する働きがある。
矯正装置による力を歯根膜が感知すると、外力の方向へと縮み、その方向の歯槽骨を吸収しバランスを取ろうとする。
一方で、反対側の歯根膜は、元の厚さに戻ろうとして、できた隙間に骨を新しく作ろうとする。
この、骨の吸収と再生の繰り返しによって、歯はゆっくりと移動していく。
【主な矯正装置】
[ワイヤー矯正]
歯の表面にブラケットという小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かす。
最も一般的な矯正方法。
・表側矯正: 歯の表側にブラケットを装着する方法である。
・裏側矯正(舌側矯正): 歯の裏側にブラケットを装着する方法で、装置が目立ちにくい。
・ハーフリンガル矯正: 上顎の歯には裏側矯正、下顎の歯には表側矯正を行う方法である。
[マウスピース矯正]
透明なプラスチック製のマウスピースを段階的に交換していくことで、歯を徐々に移動させる方法。
目立ちにくく、取り外しが可能なため、食事や歯磨きがしやすいというメリットがある。
[インプラント矯正]
歯科矯正用アンカースクリューという小さなインプラントを顎の骨に埋め込み、それを支点として歯を動かす方法。
より効率的に歯を移動させることができる。
【治療の流れ】
①精密検査: 歯並びや噛み合わせの状態を詳しく検査する(レントゲン撮影、歯型取り、写真撮影など)
②治療計画: 検査結果に基づいて、最適な治療方法と期間、費用などの説明
③装置装着: 選択した矯正装置を歯に装着します
④定期的な調整: 月に1回程度のペースで通院し、歯の移動具合に合わせて装置の調整を行う
⑤保定: 歯並びが整ったら矯正装置を外し、リテーナーという保定装置を装着して、歯が元の位置に戻るのを防ぐ
【デメリット】
費用: 矯正治療は一般的に高額になる。
期間: 歯並びの状態によって治療期間は数ヶ月から数年と長くかかる
痛みや不快感: 装置を装着した直後や調整後など、歯が動く際に痛みや不快感を伴う
虫歯や歯周病のリスク: 矯正装置を装着すると、歯磨きがしにくくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まる
口内炎: 装置が粘膜に当たり、口内炎ができることがある
食事の制限: 装置の種類によっては、硬いものや粘着性のあるものが食べにくくなる
見た目の変化: 矯正装置によっては、治療中の見た目が気になる場合がある
治療後の後戻り: 矯正治療後、保定を怠ると歯並びが元の状態に戻ろうとする可能性がある
歯根吸収: まれに、歯の根が短くなる歯根吸収が起こることがある
歯髄への影響: ごくまれに、歯の神経(歯髄)に影響が出ることがある


