よくばりな犬

よくばりなイヌ

肉をくわえたイヌが、はしをわたっていました。

ふと下を見ると、川の中にも肉をくわえたイヌがいます。
イヌはそれを見て思いました。

(あいつの肉の方が大きそうだ)

イヌはくやしくてたまりません。

(そうだ、あいつをおどかして、あの肉を取ってやろう)

そこで、イヌは川の中のイヌに向かって思いっきりほえました。

「ウゥー、ワン!!」
 
そのとたん、くわえていた肉はポチャンと川の中に落ちてしまいました。

「ああー、あ」

川の中には、がっかりしたイヌの顔がうつっています。
さっきの川の中のイヌは、水にうつった自分の顔だったのです。

SNS全盛時代、嫌でも比較をさせられてしまう世の中です。
キラキラ、映え等は、まさにそれを如実に表わしたものでしょう。

自分の持っている物に満足せず、他人の物ばかりを欲しがってしまうのはなぜでしょう。
もし、他人の物を手に入れたとして、それで満足できるのでしょうか。
恐らく、また他の物が欲しくなってしまうだけで、得られるものは一時的な満足でしょう。

基本的に、私たちが得られる物は一人一つです。
二つ以上手に入れようとすると、この犬のように、大事な一つまで手放す可能性があります。
中には運よく、二つ以上手に入れられる人もいるかもしれません。
しかし、それは例外中の例外ということを理解しなければなりません。

世の中には二つ以上を手に入れようとして苦しんでいる人が大勢います。
もがいて、苦しんで、絶望して、そんなにツラい思いをする必要があるのでしょうか。
自分にとって一番大事なものを決めさえずれば、楽なのに…。

口は一つ、くわえられる肉も、一つだけです。