映えの自己責任

有名人も通う整体院「Filament」が突然の閉鎖 関係者に広がる混乱、「前払い金」被害を訴える利用者も【取材ルポ】

当社は、2014年に代表のA氏が宮崎県で整体業をスタートし、独自開発の「骨膜整体」が口コミで広がるほかメディア等でも取り上げられて事業を拡大してきた。2020年には、整体院「整体Filament」の屋号で東京店・大阪店・福岡店をオープン。以降、「整体LIGHT」等の別ブランドも立ち上げて、直営店46店舗、FC店約60店舗(2025年4月時点)まで急速に業容を拡大し、売上高は3年間で10億円を超える規模に伸長していた。

代表のA氏は、YouTubeで個人チャンネルを開設して70万人以上の登録者数を有するほか、複数の著書も出版。代表個人の発信力やSNSでの有名人コラボによる新規顧客の獲得、施術スタッフの雇用を強みとしていた。院内には有名人らのサインが並び、HPでは「東京進出3年で芸能人御用達に」とのフレーズが強調されていた。

ところが、2024年の末、経営面に亀裂が入る。株主のひとりが、SNSで代表A氏を告発。資金繰りが厳しいなかでの高額な役員報酬や勤務実態のない身内への給与支給等を指摘した。さらに同株主は、回数券ビジネス(利用者が前払いで回数券を購入するビジネスモデル)である当社の資金繰りを危惧して、A氏の解任を求めていた。その後、A氏が自身のYouTubeチャンネルで謝罪し、代表を続投することで騒動は収まったかに見えた。  だが2025年7月末、事態は急変する。会員顧客に対し突然、複数店舗の公式アカウントから、「8月1日をもって直営店の営業を停止する」との通知が届き、一部SNSで拡散された。通知には「会社の経営悪化により、従業員への給与未払が続いている」との記載も。また、「回数券を購入したばかりなのに店舗と連絡が取れない」との投稿が散見され、関係者や利用者の混乱ぶりがうかがえる。  8月上旬、帝国データバンクは当社の本店を訪問したが、インターホンに応答はなかった。近隣の店舗は閉院、人の気配はない。その他の都内の複数店舗に架電、訪問すると、「うちはFC店なので通常営業」「他店舗の状況は分からない」とされた。

なぜ大手整体が次々と閉店しているのか──構造分析と未来戦略

ここ数年、整体業界では「閉店ラッシュ」という言葉が現実味を帯びてきています。特に顕著なのは、1回あたり8,000〜15,000円といった高単価を設定し、広告やブランドイメージで高級感を打ち出していた大手高価格帯整体チェーンの急速な店舗縮小です。

全国展開していたチェーンAは、数年前まで急拡大を続け、駅前や商業施設に次々と新店舗をオープンしていました。しかし、2024年後半から25年にかけて、複数の直営店・フランチャイズ店が一斉に閉店。急成長期に比べると、その撤退速度は倍以上のスピードです。

同様に、短時間で高額の施術を売りにしたチェーンBや、特定の症状改善に特化したチェーンCも、地方や都市圏を問わず店舗を手放す事例が相次いでいます。SNSや口コミサイトでは「通っていた店舗が突然閉まっていた」「回数券が残っているのに使えなくなった」といった声が増加し、消費者の不安感が業界全体に広がっているのが現状です。

この現象は単なる景気後退やコロナ禍の影響だけでは説明しきれません。むしろ、高価格帯というビジネスモデルそのものが抱える構造的なリスクが、外部環境の変化によって一気に顕在化したと考えるべきです。

YouTubeやSNSの台頭は、自らをブランド化するツールとなりました。
知名度は、集客において非常に強力な武器です。
有名人というバイアスは、結果にポジティブな影響を与えることが可能です。

SNSは新しいツールであるため、露出者の年齢は比較的若い傾向にあります。
私は技術に自信が持てるまでに、それ相応の時間がかかりました。
恥ずかしながら、20代は体裁を繕っていただけで全く分かっていませんでした。
自らの経験を物差しにすると、若いうちからそこまで成熟できるのだろうかと思ってしまうのです。

キレイな店舗、オシャレな雰囲気、無いよりは絶対にあった方が良いでしょう。
しかし、整体院の本質は、あくまでも結果が出せるかどうかです。
被害を受けた方には気の毒ですが、映えに毒されてしまっている当人の責任でもあるでしょう。

実力があるのに苦労している治療家は大勢います。
多くの方が、本質を理解できるような世の中になってくれることを私は望みます。